2010年にローンチしたアクセサリーブランド、KISSO。約10年が経ち、次のステージへと進むため事業をアップデートします。
2022年10月スタートの「KISSO DAO PROJECT」は「ものづくり × ブロックチェーン」というアイディアから生まれました。最先端テクノロジーであるブロックチェーンを用いて、KISSOが現在抱えている課題を解決しようという試みです。
世界初のデジタルジュエリーブランドの立ち上げを目指し、アクセサリーブランド・KISSOをさらに進化させる挑戦が始まります。
KISSOのファンコミュニティー「KISSO DAO」始まる
株式会社キッソオ代表・吉川精一(以下、吉川):今回リリースする「KISSO DAO PROJECT」は「ものづくり × ブロックチェーン」がキーワードとなっています。ブロックチェーンやスマートコントラクト、NFTを用いて運営するDAOの立ち上げを目指します。
ライター・田中耿(以下、田中):DAOとは何でしょうか?
吉川:DAOは「Decentralized Autonomous Organization」のことで、日本語では「分散型自律組織」となります。
田中:これまでにある組織とは何が違うのでしょうか?
吉川:DAOでは、組織を運営していく上でのルールはすべてスマートコントラクトに書き込まれていて、投票の処理や決定事項の実行は自動的に行われます。このスマートコントラクトとは、ブロックチェーン上にルールをプログラムして自動的に実行する仕組みのことです。
つまり、自動化されたDAOには管理者や仲介者は必要ありません。参加者の立場はフラットで民主的といえます。
また、国籍や性別に関係なく誰でも参加することができるなど、DAOは新しい形態の組織なのです。
田中:これまでにないファンコミュニティーを立ち上げるということですか?
吉川:「KISSO DAO」は、DAOを目指したファンコミュニティーです。あくまでもKISSOブランドのビジョンやミッション、指針、世界観を守りながら、将来的なDAO化を目指して運営を行っていきます。
田中:なぜKISSOのファンコミュニティーのあり方としてDAOを選んだのでしょうか?
吉川:実は、DAOをつくりたいと思ったわけではありません。ブロックチェーンについて学ぶうちにDAOへとたどり着いたのです。
第一次産業革命では蒸気機関が発明され、第二次産業革命では重工業への転換が起きました。
約20年前、第三次産業革命が始まりました。インターネットが誕生し、世の中は刻一刻と進化しています。我々のものづくりもネットでの宣伝広告が主流となり、ECサイトで販売を行うようになりました。
そして今、ブロックチェーンが発明され、第四次産業革命を起こそうとしています。
ブロックチェーンは「あらゆる産業分野における次世代プラットフォームとなる可能性を持つ」として経産省が調査しています。世界が最も注目している技術のひとつです。これからブロックチェーンは私たちの生活を豊かに変えていくでしょう。
このブロックチェーンを学んでいく中で、「ものづくり × ブロックチェーン」というアイディアを思いつきました。
KISSOがある福井県鯖江市は、ものづくりのまちです。鯖江は眼鏡と繊維で有名ですが、まわりには伝統工芸の産地があります。越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼など、今も様々な職人によるものづくりが行われています。
ブロックチェーンの特性を生かせばKISSOに今ある課題を解決し、進化できるのではないか、さらにはものづくりも進化できるのではないかと考えています。
田中:「ものづくり × ブロックチェーン」というアイディアからDAOへはどのようにつながるのでしょうか?
吉川:もともとKISSOのファンコミュニティーを立ち上げたいと思っていたところ、ブロックチェーン上で運営されるDAOという組織形態を知りました。
みんながフラットで透明性の高い組織であるDAOなら、様々な参加者が集まり、自由な企画立案がされるのではないか。これまでのKISSOの購買層とは異なる人たちやクリエイターを巻き込んで、これまでにない商品を開発できるのではないか。そう直感しました。
「KISSO DAO」では、ものづくりを通して多国籍な人たちとワクワクするような学びと共創の喜びを得られたらと考えています。
そしてゆくゆくは、ものづくりとブロックチェーン、ものづくりとDAOという掛け合わせが、ものづくりのまち・鯖江に広がっていくといいなと思っています。
田中:KISSOのファンだけでなく、ブロックチェーンのような新しいテクノロジーに興味ある人たちも集まりそうですね。どうしたら「KISSO DAO」に参加できるのでしょうか?
吉川:オンライン上のファンコミュニティーである「KISSO DAO」に参加するためには、KISSOが発行するNFTが必要です。KISSOのアクセサリーを購入すると、同じアクセサリーがNFTとして与えられます。このNFTが「KISSO DAO」への参加チケットです。また購入金額によってポイントが付与されます。
田中:リアルでKISSOのアクセサリーを購入すると、参加チケットであるNFTが手に入るのですね。
吉川:そうです。ちなみに、NFTとはノン・ファジブル・トークンの略で、日本語では非代替性トークンといいます。
ゲームセンターのメダルや引換券をデジタルで発行し、ブロックチェーンで唯一性を持たせたものです。ブロックチェーンは美術品の所有権や著作権管理などにも活用されつつあるように、「これは誰のもの」という唯一性を持たせることができます。
トークンというとコインをイメージしがちですが、KISSOが発行するNFTは購入されたアクセサリー(の画像)で、コミュニティーメンバーであることの目印となる会員権です。
田中:では、NFTに付与されるポイントはどのように利用できるのでしょうか?
吉川:ポイントを持っている人は「KISSO DAO」内で企画の提案や投票ができます。また「KISSO DAO」内での活動やKISSOでのインターンなど、「参加資格:xxポイント以上」というようなことも考えています。
付与されるポイントは、アクセサリーの購入金額1,000円につき1ポイントです。企画の提案や投票など、何かを行ってもポイントが消費されることはありません。
(#2 に続く)